浄土宗の永代供養とは?本山納骨と一心寺の「お骨佛様」についてもご紹介!
永代供養は宗派不問の供養方法として知られていますが、各寺院には宗派による違いが存在します。
中でも浄土系においては、供養に対する考え方が少し特殊になります。そのため、浄土宗を信仰されている方は、お墓を選ぶ際に迷ってしまうことが多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、浄土宗の永代供養について、以下の項目にわけて詳しく解説していきます。
1. 永代供養とは? 2. 浄土宗とは? 3. 浄土宗の永代供養とは? 4. 浄土宗の本山納骨について 5. 浄土宗の一心寺の「お骨佛様」について1906年(明治39年)創業の仏壇・仏具専門店「ぶつえいどう」がご案内します。ぜひ最後までご覧ください。
永代供養とは?
永代供養とは、ご遺骨の管理・供養を寺院や霊園がご遺族に代わっておこなってくれる、新しいタイプの供養方法です。近年注目されている理由は、お墓に対する考え方が、家族で代々受け継ぐものから個人で持つものへと移り変わったことが影響しています。
永代供養には大きく分けて、ご遺骨を骨壺から取り出して埋葬する合祀墓と、骨壺のまま安置する個人墓や家族墓などがあります。ただし、骨壺のまま安置できる期日には限りがあり、最長でも「弔いあげ(とむらいあげ)」となる五十回忌を目途に、合祀墓に移されます。
浄土宗とは?
浄土宗は、平安時代の終わりに法然上人によって開かれた、日本で2番目に大きい仏教の宗派です。阿弥陀仏を本尊とし、浄土三部経を根本経典としています。「浄土三部経」とは、お釈迦さまが説かれた七千余巻の一切経(仏典を集成したもの)の中で、どんな人も救われる法が集中的に説かれている『仏説無量寿経』『仏説観無量寿経』『仏説阿弥陀経』の三経典をあわせた総称です。
それまでの仏教は「出家し戒律を守り厳しい修行をしなければ救われない」と思われていましたが、お釈迦さまの教えにはどんな人にも救われる道があることを明らかにしました。
浄土宗の教えとは?
浄土宗の教えとは「専修念仏」です。1回の「専修念仏」で、誰もが救われるという教えになります。ただし「専修念仏」とは、他力の念仏を指し、自力の念仏では救われません。
他力とは阿弥陀仏のお力のことであり、他力の念仏とは、他力によって3つの心がおこされて称える念仏をいいます。3つの心とは、『観無量寿経』に説かれる「至誠心(しじょうしん)」「深信(じんしん)」「廻向発願心(えこうほつがんしん)」であり、これを「三心」といいます。
三心 | 意味 | 詳細 |
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至誠心 | 真実に浄土を願う心 | 純粋な心で阿弥陀仏を想い、浄土往生を願うこと。 |
深心 | 深く浄土を願う心 | 自身が救われ難い凡夫であると悟り、阿弥陀如来を信じ「南無阿弥陀仏」と唱えれば救われると、心の底から深く信じること。 |
廻向発願心 | 所修の功徳を回向して浄土に往生しようと願う心 | 生前の一切の善行による功徳は、極楽浄土に往生するためと心得、ひたすら極楽浄土を乞い願うこと。 |
三心が一つでも欠けると、往生できません。三心がおきるまでは、すべて自力の念仏です。
自力の念仏は、何万回称えても極楽へは往けません。生きているときに阿弥陀仏に救われて、三心をおこされて称える念仏が、他力の念仏です。他力の念仏を1回でも称えれば、極楽へ往き仏に生まれるという教えです。
浄土宗の実践とは?
三心をおこされて他力の念仏を称える身になると、「四修(ししゅ)」せずにはいられなくなります。「四修」とは、「恭敬修(くぎょうしゅ)」「無餘修(むよしゅ)」「無間修(むけんじゅ)」「長時修(じょうじしゅ)」の4つです。
四修 | 意味 |
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恭敬修 | 救われた喜びから、阿弥陀仏を敬い礼拝せずにはいられなくなります。 |
無餘修 | 自身を救う仏様は阿弥陀仏以外になかったと自覚し、救われた喜びが常に続き、阿弥陀仏をほめたたえ礼拝し、念仏を称えずにはいられなくなります。 |
無間修 | いつ死んでも極楽参り間違いなしと、露塵ほどの疑いもない心が死ぬまで続き、極楽浄土を思い浮かべて念仏を称えずにはいられなくなります。 |
長時修 | 上述の全てを、命が延びれば延びただけ続けずにはいられなくなり、救われた瞬間から、一回でも多く念仏を称えなければもったいないという心境になり、念仏を称えずにはいられなくなります。 |
他力の念仏の要は「疑なく往生するぞ」という、信心を決することです。その疑いのはれた決定信に、「三心」も「四修」もおさまっているのです。
浄土宗の法要や供養の方法
上述の教えから、浄土宗では供養に対する考え方が他の宗派と異なり、故人は阿弥陀如来のご加護で亡くなってすぐに極楽浄土に往生しているとされているため、この世にあるご遺骨やお墓は本来意味がありません。
しかし、日本では古来より先祖崇拝が基本であり、日本に渡った仏教がこれを取り入れ、ご先祖様を供養する習慣を作り上げました。
浄土宗では、この先祖を敬うという慣習自体は良いものであるとし、この世にいる人と故人の結び付きを深めるという考えのもとに、命日やお盆・お彼岸など、他の宗派が追善供養をするのと同じ忌日に回向法要が行われます。
ご回向とは、お経やお念仏の功徳を、ご先祖様や故人のために「回し向け」ご供養することです。回向そのものは、ご自身が積んだ功徳を他の方の功徳に振り替えることを指します。
考え方は多少異なりますが、故人のためにお経を唱え、この世に戻ってきたご先祖様をもてなすためのお供え物をするなど、他の宗派と供養の様式に差異はありません。
浄土宗の永代供養とは?
先述のとおり、浄土宗の供養に対する考え方には、他の宗派と明確な違いがあります。
そのため、浄土宗では永代供養とは呼ばず、永きに渡って亡くなった方を祀るという意味で「永代祠堂」と呼びます。永代祠堂とは、永代にわたりご先祖様の追善供養を勤めることをあらわしているので、寺院がご遺骨を管理してくれるという点では一緒です。
浄土宗の永代祠堂は、他の宗派や宗教不問の永代供養と比較して、特別な違いはありません。一般的な永代供養と同様に、ご遺骨を骨壺から取り出して埋葬する合祀墓と骨壺のまま安置する個人墓などがあり、個別納骨であっても期限を迎えると最終的に合祀墓に移される点も同じです。
浄土宗の本山納骨について
浄土宗の総本山「知恩院」は、建立から800年という歴史を持つ、京都を代表する名刹です。近世の本格的な仏教建築物の代表として、本堂と三門が平成14年に国宝に認定されています。
納骨は、ロッカー式の納骨壇に個別納骨する寶佛殿(ほうぶつでん)と、地下納骨室に合祀する納骨堂があり、分骨・全骨・改葬の3種類に区別されています。浄土宗のお勤めで供養することに問題がなければ、宗派不問、戒名不要で納骨が可能です。
なお、費用や予約については、院内「志納係(しのうがかり)」まで、お問合わせください。
浄土宗総本山知恩院 志納係 |
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TEL. 075-531-2113 / 075-531-2111(代表) FAX. 075-531-2290 受付時間:午前9時 ~ 午後4時 |
寶佛殿
寶佛殿は、ロッカー式の納骨壇に個別で納骨する、平成4年に造立された納骨堂です。
堂内には阿弥陀如来像と四天王が安置され、地下にご遺骨が奉安されます。なお、寶佛殿の納骨には予約が必要です。
特別永代祠堂・寶佛殿納骨 法要・他 |
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納骨堂
納骨堂は、合祀でご遺骨をお納めしている、昭和5年に造立されて納骨堂です。
「永代祠堂納骨」「祠堂納骨」「特別納骨」「普通納骨」の4種類があり、堂内には阿弥陀三尊像と二十五菩薩が安置され、地下にご遺骨が奉安されます。予約の必要はなく、申し込みをした当日に納骨可能です。
種類 | 法要・他 |
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永代祠堂納骨 |
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祠堂納骨 |
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特別納骨 |
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普通納骨 |
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浄土宗の一心寺の「お骨佛様」について
浄土宗の一心寺は「本山」ではありませんが、本山納骨に近い仕組みを持っており、他の寺院や宗派とは異なった永代供養を行っています。また、とても有名で利用者が多いことから、ピックアップしてご紹介します。
一心寺とは
関西屈指の人気寺「一心寺」は、ご遺骨でつくった「お骨仏(おこつぼとけ)の寺」として知られています。永代供養墓は現在広く認知されてきましたが、その元祖といえるのが一心寺の骨仏です。
開基されたのは1185(文治元)年、1851(嘉永4)年より集まったご遺骨で阿弥陀如来像をおつくりし、お祀りするようになりました。
1887(明治20)年以後は10年ごとにお骨仏をつくるようになり、これを「お骨佛様」と呼んでいます。また、2005(平成17)年には、大阪市の無形民俗文化財にも指定されています。
お骨佛様への納骨について
一心寺に納骨されたご遺骨は、細かく砕かれ他のご遺骨と共に阿弥陀如来像が作られることとなるため、いわゆる合祀という形になります。
納骨の費用は「納骨冥加料」とされ、小骨や分骨で1~2万円、全骨や胴骨でも15,000円~3万円で納骨でき、大阪庶民だけではなく日本全国の方たちの、最後の拠り所として人気を集めてきました。
しかし、永代供養や墓じまいの急増により、近年過剰にご遺骨が持ち込まれるようになり、2021(令和3)年1月1日以降、納骨の受入れに制限を設けています。
受入制限詳細 |
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まとめ
この記事では、浄土宗と永代供養について、ご紹介してきました。
浄土宗では永代供養に近い供養方法を「永代祠堂」と呼び、永代にわたりご先祖様の追善供養を勤めてくれます。呼び名は違っても、供養の様式にそれほど違いはありません。そのため、浄土宗を信仰されている方はもちろん多宗派の方であっても、安心して永代にわたるご供養をお願いできることと思われます。
この記事が、現在お墓や納骨先をお探しの方の、一助となれたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。