浄土真宗には永代供養がない!?永代供養の代わりになる納骨の方法をご紹介!
永代供養は、少子高齢化が加速する現代人のニーズに合う供養形態として、近年注目を集めています。しかし、浄土真宗は供養を必要としない宗派のため、永代供養という考え方がありません。では、浄土真宗を信仰されている方が永代供養を望んだ場合どうすればいいのでしょうか。
ご安心ください。浄土真宗の教義に永代供養という言葉がないのは確かですが、永代供養墓と同様の、跡継ぎ不要のお墓を設けている浄土真宗の寺院もあります。
ここからは、浄土真宗と永代供養について、以下の項目にわけて詳しく解説していきます。
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永代供養とは?
永代供養とは、長い時間をかけてご先祖様を供養し往生を願う、仏教の習慣のひとつです。
そもそも供養とは、故人が迷わずに浄土へ行き成仏できることを願って、読経や祈りを捧げる「追善供養(ついぜんくよう)」のことを指します。したがって永代供養には、永代にわたる供養をご遺族に代わって寺院・霊園が執り行い、故人の魂を無事浄土へ送り届けますという約束でもあるのです。
しかし近年は、本来の意味合いよりも、寺院・霊園にお墓の管理を依頼するという部分だけがクローズアップされがちです。もちろん、その考え方も間違いではありません。お墓の管理は追善供養のひとつだからです。
少子高齢化だけでなく、故郷を離れて暮らす方たちが増えている昨今、先祖代々のお墓が無縁墓になってしまうかもしれないという不安を抱えている方は少なくありません。そのため、お墓の継承者問題に悩む方たちに向けた解決策のひとつとして、永代供養は広まっています。
永代供養墓について
永代供養の特徴のひとつに、永代供養墓という従来の一般墓とは異なるお墓があります。
一般のお墓は、ご家族でひとつの区画に墓石を建て、その下に先祖代々のご遺骨を埋葬し、供養と管理は残されたご遺族が担います。それに対して永代供養墓は、墓所の管理とご遺骨の供養を、寺院・霊園にお任せできる納骨方法です。
永代供養墓には、従来のお墓に近い墓石のほかにモニュメント・納骨堂・樹木葬などさまざまな種類があり、自由に選択できます。また、埋葬方法にも複数の選択肢があり、他の方たちのご遺骨と一緒に埋葬される合祀タイプから、一般のお墓と同じように墓石の下に骨壺のまま安置する個人墓タイプなどがあります。
ただし、永代供養の場合、たとえ個人墓を選択したとしても、一定の期間を経て合祀墓に移される場合がほとんどです。期間については、複数の年忌法要から選べる施設と、あらかじめ決まっている施設がありますので、申し込む前に確認が必要です。
浄土真宗とは?
浄土真宗とは、親鸞聖人を開祖とする仏教の宗派のことで、日本で最大の規模を誇る仏教宗旨として知られています。
親鸞聖人は、浄土宗を開かれた法然上人の弟子として念仏によって救われることを学び、そこから阿弥陀如来の力に任せきる「絶対他力」に行きついたとされています。「絶対他力」とは、阿弥陀如来の力にすがることにより、誰もが極楽往生できるとする思想です。
法然上人と親鸞聖人の関係性についてはさまざまな説がありますが、親鸞自身は独立開宗の意思は無く、宗旨名として「浄土真宗」を用いるようになったのは親鸞の没後とされています。また、法然上人に師事できたことを生涯の喜びとしたという説もあります。
浄土真宗の特徴
浄土真宗の特徴は、前述のとおり「他力本願」の思想です。
他力本願とは、阿弥陀仏(他力)の万人を救済したいという願い(本願)によって救ってもらうという考え方です。対して、他の宗派には「自力本願」の教えがあります。自力本願とは、厳しい修行を重ね悟りを開くことで成仏できるという考え方です。
浄土真宗は、この点で他の宗派と大きく異なります。
浄土真宗の永代経とは?
浄土真宗には永代供養と混同されがちな「永代経」という言葉があります。
永代経とは「永代読経」を略式にあらわした言葉で、先祖代々受け継がれてきた仏様の教え(仏法)が未来に伝わることを願いながら、永代にわたってお経を読み続ける行為そのものを指します。
永代経は、これまでご先祖様が大切につないできた教えを今に伝えるために読まれるお経であり、生きている方のためのお経なのです。
したがって、故人の供養を目的とする永代供養とは、意味が全く異なります。
浄土真宗では永代供養を必要としない
他の宗派で、お経を唱えたりお墓参りをしたりといった追善供養が行われるのは、故人が迷うことなく成仏できることを願うためです。しかし、前述にあるとおり、浄土真宗では阿弥陀仏の本願によって成仏できるという考え方があります。
つまり、信仰のあるものは亡くなってすぐに迷うことなく極楽浄土にたどりつけるため、追善供養自体行う必要がなく、永代供養という考え方も存在しないと解釈されています。
浄土真宗の信徒が永代供養に申し込む5つのステップ
ここからは浄土真宗の信徒の方が、永代供養墓に申し込む際の効率的な探し方を、5つのステップに分けてご提案します。
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- ステップ1菩提寺に相談する
- 浄土真宗の信徒の方が永代供養墓を検討するなら、まずは菩提寺に相談してみましょう。
永代供養の施設を用意する寺院が増えている近年、浄土真宗の寺院であっても、利用者のニーズにあわせ、利用者がわかりやすいように「永代供養墓」と銘打ち申請者を募っています。そのため、菩提寺にも永代供養墓の用意がある可能性は高いといえます。
ただし、相談する際に「永代供養」という言葉を使用することは控えましょう。後継ぎがいない、あるいは一代限りのお墓を探しているなど、言葉を選んで切り出すことをおすすめします。
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- ステップ2永代供養墓を用意している浄土真宗の寺院を探す
- 菩提寺に永代供養墓が設けられていない場合、永代供養墓を設けている浄土真宗のお寺を探しましょう。インターネットなどを活用し、寺院のホームページを確認したり、直接お電話で問い合わせたりして確かめます。
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- ステップ3宗教不問の永代供養墓を探す
- 永代供養墓を設けている浄土真宗の寺院が見つからない場合、宗教不問で永代供養を受け入れている寺院・霊園を探しましょう。
「宗教不問」とは、キリスト教やイスラム教などであっても、無宗教であっても大丈夫という意味です。似たような表現で「宗旨・宗派不問」というところもありますが、こちらは国内にある十三の宗派のいずれかに属していれば受け入れてくれるという意味になります。
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- ステップ4供養塔のある寺院を探す
- 供養塔とは、引き取り手のないご遺骨や、天災や戦争などによって身元不明となってしまった方のご遺骨を納めるために建てられた、石造りの塔のことです。五重塔や五輪塔など、形は寺院によって異なりますが、平安時代から続く全国各地にある供養の方法です。
永代供養と同じように寺院が管理し、故人を手厚く供養してくれます。
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- ステップ5本山納骨を検討する
- 宗派の異なる寺院や霊園を利用することに抵抗があるという方には、本山納骨をおすすめします。本山納骨とは、宗派の本山となる寺院に、故人のご遺骨を納める埋葬方法です。
浄土真宗には宗派の中に2つの勢力があり、西本願寺を本山とする本願寺派(お西さん)と、東本願寺を本山とする大谷派(お東さん)が存在します。
それぞれの本山には本山納骨があり、西本願寺では大谷本廟、東本願寺では大谷祖廟で受け付けています。
- 大谷本廟(西本願寺)
- 大谷本廟の納骨には「祖壇納骨」「無量寿堂納骨」「墓地納骨」の3種類がありますが、一般的に本山納骨と呼ばれているのは「祖壇納骨」です。納骨のためのお布施は、小型容器(高さ16㎝・幅9㎝)で3万円以上、小型容器より大きい場合は5万円以上となります。あわせて永代経も申し込む場合は、納骨料以外に3万円以上が必要です。
- 大谷祖廟(東本願寺)
- 大谷祖廟への本山納骨は、お布施が2万円以上となり、4万円以上であれば彼岸会(春または秋)の永代読経がつきます。
浄土真宗 本山納骨
納骨先 | 大谷本廟(西本願寺) | 大谷祖廟(東本願寺) |
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住所 | 京都市東山区五条橋東6丁目514 | 京都市東山区円山町477 |
電話番号 | 075-531-4171 | 075-561-0777 |
受付時間 | 午前9時~午後3時 | 午前8:45~11:30/午後0:45~3:30 |
まとめ
この記事では、浄土真宗と永代供養について、ご紹介してきました。
浄土真宗に永代供養という概念は存在しませんが、現代人のニーズに合わせ、永代供養墓を用意している浄土真宗の寺院は多くあります。相談の際にはご住職の信仰を尊重し、永代供養という言葉はさけ、「後継者が必要のないお墓」など、言葉を選んで相談するようにしましょう。
この記事が、永代供養を望まれる浄土真宗の信徒の方の、一助となれたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。