永代供養の手続きについて、基本的な流れを解説!
近年人気を集めている「永代供養」は、お墓を守ってくれる人がいないなど後継者問題で悩んでいた方たちや、故郷への頻繁な帰省が難しくなった世代に選ばれています。また、ご自身の葬儀をご自身が決めたり、お墓を元気なうちに準備できたりする「生前予約」が可能な供養形態としても、注目されています。
しかし、購入手続きや改装の手順がわからないため、気になりながら踏み切れずにいる方も少なくありません。それでも「永代供養」は、お墓を取り巻く環境が変化している現在、押さえておきたい情報のひとつです。
そこでこの記事では、永代供養の基本的な手続きについて、以下の項目にわけて詳しく解説していきます。
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ぜひ最後までご覧ください。
永代供養とは?
永代供養とは、ご遺骨の管理や供養の方法を指す言葉で、寺院や霊園に永代供養料を納めたうえでご遺骨を預かってもらい、永代にわたって供養や管理をお任せする埋葬方法です。供養や管理の仕方に特別な決まりはないため、寺院や霊園によってその方法は異なります。永代供養の手続きについて
永代供養の手続きについて、申請⇒契約⇒納骨までの、基本的な流れを解説します。必要な書類なども紹介しますので、参考にしてください。
永代供養を申し込むのに必要な書類は?
永代供養を申し込む際に必要になる書類は、新しくお墓を購入する方と既にお墓を持っている方とでは違いがあります。既にお墓を持っている方は、現在のお墓の所在地を管轄する自治体から入手する資料や、現在のお墓がある寺院・霊園から頂く資料があります。合わせて、新しくお墓を購入する方と同じ資料も必要です。
- 書類名称
- 発行場所
- 受入証明書
- 永代供養申し込み先
- 改葬許可申請書
(お墓を持っている方) - 現在の墓地所在地の自治体
- 埋葬証明書
(お墓を持っている方) - 現在のお墓がある寺院・霊園
- 改葬許可証
(お墓を持っている方) - 現在の墓地所在地の自治体
「受入証明書」は、申し込み先によって名称が変わる場合もあります。また、同じ寺院・霊園内で永代供養墓に改葬する場合でも、改葬許可申請は必要になります。加えて、永代供養を申し込む方の「戸籍謄本」「印鑑登録証明書」「身分証明書」などが求められる場合もあります。
生前予約をする場合の手続き
生前予約できる寺院・霊園・納骨堂などの施設を探し、契約します。支払いを済ませた後、契約書の控えや支払い済みという証明証が届きます。この契約書はご自身が亡くなった後に必要になるため、必ずご家族にこのことを伝え、分かる所に保存しておくようにしましょう。
墓じまいの後に永代供養する場合の手続き
既に持っているお墓から永代供養つきのお墓に改装する際には、届け出をする場所が全部で3か所あります。
- 現在のお墓を管理している寺院・霊園
- 現在の墓地所在地の自治体
- 永代供養を申し込む寺院・霊園・納骨堂
具体的な流れは、下記「永代供養の手続き具体例」をご参照願います。
なお、ご遺骨を移動する際には、現在のお墓を管理している寺院・霊園による、墓石に込められた仏様の魂を抜く「閉眼供養」が必要です。また、お墓の様式によっては、永代供養を申し込む寺院・霊園・納骨堂による、納骨の際に墓石に魂を入れる「開眼供養」が行われる場合もあります。どちらのご供養も、僧侶を招き墓前で行われます。
一般墓から永代供養墓へ切り替える場合の手続き
基本的には、墓じまいの後に永代供養墓に改葬するという手順が必要です。しかし、中には現在所有されている先祖代々のお墓そのものを、永代供養のお墓に変更してくれる霊園や寺院もあります。
寺院・霊園によって対応は変わりますので、気になる方は、直接霊園の管理者やお寺のご住職に相談されることをおすすめします。
永代供養の手続き具体例
永代供養の手続きについて、流れが一番複雑になる「墓じまいの後に永代供養する場合の手続き」の、具体的な流れを紹介します。
墓じまいの必要がなく改葬だけの場合は下記「6」が不要になり、お墓がない方は下記「4」と「9」のみになります。
- 現在の墓地所在地の自治体から「改葬許可申請書」をもらう
- 現在お墓を管理している寺院・霊園から署名・捺印をもらう
- 現在お墓を管理している寺院・霊園から「埋葬証明書」をもらう
- 永代供養を申し込む寺院・霊園・納骨堂から「受入証明書」をもらう
- 現在の墓地所在地の自治体に、署名・捺印済みの「改葬許可申請書」「埋葬証明書」「納骨許可書」を提出し「改葬許可証」を交付してもらう
- 遺骨の取り出しやお墓の整理を依頼する石材店を選ぶ
- 現在お墓を管理している寺院・霊園による閉眼供養の後、遺骨を取り出す
- 永代供養をお願いする寺院・霊園・納骨堂へ、ご遺骨と「改葬許可証」を持参する
- 永代供養墓に合祀、もしくは個別に納骨する
※納骨の際には、永代供養を申し込む寺院・霊園・納骨堂による開眼供養が行われる場合もあります。
永代供養で埋葬後の流れ
ここからは、永代供養でご遺骨を埋葬した後、管理者側で行うご供養や追加料金の可能性、お墓参りなどについて紹介します。
永代供養をした後に必要なもの
永代供養は基本的に契約時のみの支払いだけですが、寺院の永代供養の中には法事法要の際に追加で金額が発生することがあります。法事法要では僧侶に読経してもらう必要があるため、お布施が必要になるからです。
そのほかに、永代供養料に管理費が含まれていない場合は、期限を区切って支払う必要が出てくることもあります。
お墓参りや忌日法要について
永代供養の最大のメリットは、お墓の管理や供養を安心してお任せできることです。そのため、埋葬後はお墓参りや忌日法要の負担はありません。清掃などの手間に加え、春と秋のお彼岸やお盆、命日などにも合同供養をしてくれます。
ただし、追善供養となるご遺族による回忌法要・法事は、宗教上は行ったほうがより良いとされています。忌日法要・法事を執り行う際には、墓地管理者に事前に申し込むようにしましょう。
また、永代供養のお墓は個人のお墓と違い、プライベートな空間が準備されていないので、ゆっくり時間をかけて故人と語りあうことは難しくなりますが、お墓参りにも自由に行くことができます。
その他の永代供養の手続き
その他の永代供養として、樹木葬と散骨について、気になる手続きの方法を紹介します。
樹木葬
樹木葬の申し込み手続きは、通常の墓地の契約と変わりません。墓石が必要ない分、墓石に関する手続きが省略され、生前予約が可能な点などが特徴となります。
散骨
後々の供養の必要がないため、永代供養と呼べる散骨ですが、散骨することそのものに特別な手続きはありません。
ただし、墓じまいが必要な際には、気を付けたい点があります。それは、散骨は「改葬」とはいえないため、墓じまいに必要な「改葬許可証」が発行されない場合があることです。
もしもそのような問題が起きた際には、現在の墓地所在地の自治体窓口で墓じまいの必要性を伝え「改葬許可証」の発行をお願いするか、自治体から「改葬許可証」は不要という確認を取ったうえで、墓地管理者に墓じまいを認めてもらいましょう。
まとめ
先祖代々受け継がれてきたお墓を墓じまいし、永代供養先に入れると考えると、何だかとても大変な作業に思えて気が重くなってしまう方も多いことと思われます。
しかし、永代供養はご家族に負担をかけることなく、事前予約することで埋葬方法などをご自身で決めることができる供養の仕方です。この機会に、新しいお墓や供養の方法として、永代供養を選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。