お墓参りの意味や作法を徹底解説!知っておきたいマナーは?必要な持ち物は?
お盆やお彼岸に、お墓参りに行かれる方はたくさんいらっしゃることと思われます。あるいは大切な方の命日や人生の節目など、お墓参りに行こうかなと考える機会はたくさんあることでしょう。
そんなとき、ふと気になるのがお墓参りのマナーです。
お墓参りは幼いころから経験するものですが、ご両親や目上の方の慣例に従うだけで、本来の意味や作法について考えたことはないという方は少なくありません。しかし、お墓参りの目的やふさわしい時期を知り、服装や持ち物などを不安なく整えることは、故人のご冥福を祈る気持ちに集中するためにも、大切な準備といえます。
そこでこの記事では、お墓参りの意味や基本的な流れ、持っていくべきものや服装など、お墓参りに関する知っておきたいマナーについて、以下の項目にわけて詳しく解説していきます。
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ぜひ最後までご覧ください。
お墓参りをする意味
お墓は、ご先祖様や故人をお祀りしているところです。
そのため、お墓参りとは、亡くなった方たちの菩提を弔い、ご供養することをいいます。亡くなった方のご冥福を祈るとともに、無事で暮らしていることへの感謝の気持ちを伝えることに、お墓参りの本当の意味があると考えられています。
また、お墓は故人を偲び、語りかけることができる場でもあります。ご遺族をはじめとする近しい方々にとってお墓参りは、大切な人を失った哀しみと向き合い、癒すための行為でもあるのです。
先祖供養
お墓参りは、先祖供養のひとつとされています。
先祖代々のご遺骨が埋葬されているお墓に足を運び、ご先祖様の霊や仏様が宿る場所を清掃し、お参りをすることが、先祖供養に繋がります。
すっきりと綺麗になった墓前に立ち、心を込めて手を合わせ、ご先祖様や仏様へ感謝の気持ちを伝える先祖供養は、ご自身も功徳を得ることができる大切な習慣です。
自分のルーツの確認
墓前に立つということは、自分という存在のルーツである、ご先祖様の前に立つということに他なりません。そのため、お墓参りは、ご自身のルーツであるご先祖様や故人など、お世話になった大切な方たちへ想いを馳せる尊い時間をつくることになります。
現在の自分があることの感謝を述べ、ご供養の意味を意識して弔うことで、故人やご先祖様とご自身との間に、心の繋がりを感じられることでしょう。
お墓参りの作法やマナーとは?
お墓参りに明確な決まりはありませんが、一般的な作法やマナーはあります。ここからは、お墓参りのマナーとして、知っておいた方が良い基本的なポイントをご紹介します。
お墓参りの手順と流れ
お墓参りの手順は、「お墓のお掃除」⇒「お供え」⇒「お参り」の3つの流れが基本になります。
お墓が寺院墓地にある場合は、ご住職にご挨拶をし、本堂のご本尊様にお参りをしてから墓所に向かうようにしましょう。また、霊園であっても管理事務所があるのであれば、お墓参りに行く前に一言声をかけることをおすすめします。
墓前では最初に合掌し、「お参りに来ましたよ」と心の中で挨拶をしてから、お掃除に取り掛かるようにします。
お参りが済んだあとは、ろうそくや供物を下げ、持ち帰るようにしましょう。霊園の中には、お花を持ち帰ることを推奨している場合もありますので、事前の確認が必要です。
お墓参りの最低限の作法を確認
お墓参りには、最低限の作法があります。それぞれ詳しく解説しますので、参考にしてください。
掃除
お掃除には、大きく分けて4つの手順があります。
頻繁にお墓参りをされている方、あるいは墓所によっては必要のない項目もあるかと思われますので、必要な箇所だけご確認ください。
作法 | 詳細 |
---|---|
雑草を抜く | お墓の周りに生えている雑草を抜きます。 |
掃き掃除 | 敷地内の枯葉などを、ほうきで掃いて清めます。 |
拭き掃除 | 墓石をスポンジや雑巾で丁寧に水拭きします。 |
付属品を洗う | 花立て・水鉢・お線香台など、取り外しできる付属品は手洗いします。 |
加えて、お掃除のポイントを3つ、ご紹介します。
ポイント | 詳細 |
---|---|
墓石を傷つけない | 墓石はどんなに汚れていても、ゴシゴシと力強くこすってはいけません。墓石が傷つかないように、スポンジや雑巾でやさしく拭うようにしましょう。 |
墓石の裏側もチェック | 墓石は正面だけでなく、裏に回り込んで綺麗に拭きあげるようにしましょう。 |
文字のチェック | 彫刻部分に白いペンキなどが入れてある場合、色がはげてくることもあります。もしも文字欠け等を見つけたら、お墓を建てた石材店に相談し、修理を依頼しましょう。 |
線香
お墓参りでは一般的に、お線香は一束単位で持っていきます。
束をそのまま横にして供える場合もありますし、束から決められた本数のみを取り出してお供えする場合もあります。お墓参りでのお線香の供え方は、宗派や地域によって様々です。ご参考までに、宗派によるお線香の作法をご紹介します。
宗派 | 詳細 |
---|---|
臨済宗・日蓮宗 | 1本を香炉の真ん中に立てます。 |
曹洞宗・浄土宗 | 1〜3本を香炉の真ん中に立てます。 |
日蓮正宗 | 1〜3本を横に寝かせます。 |
浄土真宗 | 1本を2〜3本に折り、横に寝かせます。 お線香を折るのは、香炉のサイズに合わせるためです。2もしくは3本どちらでも大丈夫ですが、4本以上折ることはありませんので、注意しましょう。 |
天台宗・真言宗 | 3本のお線香を、香炉の手前に1本、奥に2本立て、ご自身から見て逆三角形になるように立てます。 |
お線香を横にすることは「寝線香」といい、火が付いている方をご自身から見て左に来るようにするのがマナーとされています。しかし、既にお供えされているお線香の向きに合わせることもマナーとなりますので、臨機応変に対応されると良いでしょう。
また、お線香はロウソクから火を灯すことが正式とされていますが、野外では難しい場合もあります。通常ライターから直接火を灯すことはタブーとされていますが、屋外の場合は使用しても問題ありません。
ここで気をつけたいのが、お線香の火の消し方です。
お線香の火を、息で吹き消すことは無作法とされています。人間の口は悪業を積みやすく、 汚れやすいものなので、仏様に供える火を消すには向かないとされているからです。
正式な消し方は、掌で仰ぐかお線香を上下に揺らして消す、もしくは最近では専用の線香消しもありますので、そちらを使用しても良いでしょう。
以上がお線香のお供え方の基本となります。
水差し
お墓参りをするときに、桶に水を入れて柄杓と一緒に持っていき、お墓に水をかけることを水差しといいます。
お墓には、水をかけてはいけないという説と、かけた方が良いとする説がありますが、どちらもマナー違反にはなりません。ただし、寺院や霊園の決まりごとや地域によるお墓参りの作法、ご家族のお墓参りに対する考え方などによって変わってきますので、周りの慣例に習ってお水をかけてよいのか判断するのが良いでしょう。
水差しのマナーとしては、お供えやお線香に水がかからないように、静かにお水をかけてあげることです。乱雑にかける行為は、ご先祖様に対して失礼に当たります。少しずつ丁寧にかけてあげるようにしましょう。
また、もしかしたらお隣のお墓では、水をかけるのを良しとしていない場合もあります。水差しを行う際には、周りに跳ね水などがかからないように、配慮することも大切です。
祈り方
お祈りの仕方にも明確なルールは存在しませんが、一般的に墓石よりも体を低くするのが礼儀とされています。そのため、可能であればしゃがんでから、軽く目を閉じ頭を下げて合掌します。
手に数珠をかけたり、お経を唱えることができれば、お経を唱えても良いでしょう。もしも多人数でお参りする際には、故人とご縁の深い方から順番にお参りします。お参りが済んだら、立ち上がった後に、お墓に一礼することも忘れないようにしましょう。
お墓参りでは、墓前で「手を合わせる」合掌が、とても大切になります。
「手を合わせる」ことは、ご先祖様を敬い、感謝の気持ちを表すための行為です。綺麗にお掃除をしてお線香やお花をお供えし、ご先祖様を喜ばせてあげるのが理想ではありますが、もしも事情があってできなかったとしても、心を込めて手を合わせるだけでも大丈夫といわれています。
また、お墓参りでお願い事をしてしまう方もいらっしゃるようですが、できればひかえたほうが良いでしょう。
お墓は、ご先祖様が安らかに眠るための場所です。お墓参りでは日頃の報告をし、元気に生かしていただいていることに対する感謝の気持ちを述べるようにしましょう。
公共物の使い方
墓地は公共空間のひとつです。他人に迷惑をかけたり、周囲のお墓を傷つけたりしないことが大切です。
墓地によっては、桶・勺・ぞうきんなどの備品を準備してくれている場合があります。もしもそれらの備品を使用するようでしたら、必ず所定の位置に戻しましょう。また、使用後は綺麗に洗ってからお返しすることをおすすめします。
誰でも使用できる公共物は、墓所管理者の厚意によって準備されています。誰もが気持ちよくお墓参りできるように、配慮をもって使わせていただくようにしましょう。
お墓参りにふさわしい服装とは?
お墓参りの服装は、控え目を心がけましょう。
赤や黄色などの原色、あるいは光沢のある服などは極力避け、肌をあらわにする服装もひかえたほうが良いでしょう。また、毛皮やファーなど、殺生をイメージさせる洋服や小物も避けるようにします。
ただし、人生の節目をご先祖様にご報告する際に、晴れ着姿で訪れることは問題ありません。その際に気をつけたいのは、大事な服が汚れないようにすることだけです。
例えば、成人式の振り袖姿の場合、慣れない下駄が危ないようでしたら、墓所までは履きなれた靴を使用し、お墓の前で改めて下駄に足を通してご先祖様にお披露目するなど、その時に応じて工夫しましょう。
お墓参りに忘れずに持っていきたいアイテム
お墓参りに必要なものは、こまごまとした準備品が多いので混乱しがちですが、お参りに必要なアイテムをしっかり抑えておくことで、安心してお墓に行くことができます。
お参りに必要なマストアイテムは以下の5点です。それぞれ見ていきましょう。
線香
ご自宅にもお線香は常備されていることと思われますが、お墓参りには、束になっているお線香が便利です。束になっているお線香は、束のまま火をつけることができるので、お線香を配りやすいという利点があります。
また、地域の慣習によっては、束のままお供えする場合もあります。その際は、地域のしきたりに従ってお供えしましょう。
もし、ご自宅に束になっているお線香が無い場合は、寺院や霊園でも販売されていますので、当日購入することもできます。
お供え物
少し前までは、お供え物といえば、果物・饅頭・羊羹などの生菓子、紋菓子や落雁などが一般的でしたが、現在は、故人が好きだった物をお供えすることが多くなっています。また、季節に合わせた旬の食べ物や、故人との「縁」につながるという意味合いから丸い果物なども良いとされています。
ただし、もしも故人が好きだったとしても、肉や魚など「殺生」をイメージさせる物はひかえるようにしましょう。加えて、にら・にんにく・ねぎ・らっきょう・しょうが・さんしょうなど、匂いや辛みが強い野菜も避けるようにしましょう。これらは「五辛」と呼ばれ、古くから仏教で食べることを禁じられてきたため、お供え物にはふさわしくないとされています。
お花
お墓参りで持って行くお花は「仏花」と呼び、3本から5本程度の細い花束を2つ用意し、花立てへお供えします。
仏花には、特別な決まりごとはなく、造花でも問題ないとされています。そのため、故人が好きだったお花をお持ちする方も多いようです。
ただし、お墓に供えるにはタブーとされるお花もあります。それは、「とげのある花」「毒のある花」「においがきつい花」です。
お墓に供える花は、生花店はもちろん、スーパーやホームセンターなどでも販売しています。墓地によっては管理事務所や売店でも買えますので、もしも悩んだ際には相談してみることをおすすめします。
ろうそく
お線香につける火を灯しておくために使います。
マッチやライターから直接お線香に火を灯すケースもありますが、正式にはマナー違反とされていますので、できる限りロウソクの火を使うようにしましょう。
持参するロウソクに決まりはありませんが、お盆・お彼岸・命日などの仏事の際には、白いロウソクが基本となります。また、お墓参り用の短くて細いろうそくも売られていますので、ご自宅用とは別に準備しておいても良いでしょう。
ライター
ロウソクに火を灯す道具として使います。
ライターではなくマッチでも構いませんが、マッチを使う場合は、火消し用の水と火を消した後のマッチを入れる容器などを準備する必要があります。
そのため、準備できるのであれば、ライターの方が手間がかからず安全です。
お墓参りはいつ行けばいいの?ふさわしい時期は?
お墓参りには「いつ行くべき」という明確なルールはありません。また、日取りについても、仏滅や友引を気にする必要もありません。
とはいえ、一年を通してお墓参りにふさわしいとされている時期はいくつかあります。ここからは、お墓参りへ行くのに良いとされている日について、詳しく解説しますので参考にしてください。
命日や月命日の墓参りは故人への供養に最適
年に一度の祥月命日や、月に一度の月命日にお墓参りに行くことは、とても良いとされています。
祥月命日とは一般的に命日と呼ばれる、故人の亡くなった月日のことです。また、月命日とは、毎月訪れる故人が亡くなった日を指します。
ご先祖様や故人にとって、何よりの供養は「あなたを忘れない」という気持ちです。さまざまな思い出が自然によみがえってくる祥月命日は、お墓参りに最適といえます。
しかし忙しい毎日の中で、どうしても祥月命日にタイミングが合わない場合は、月命日にあわせてお墓参りに訪れても良いでしょう。
最もお墓参りが行われるのはお盆
日本では、お盆の時期にご先祖様が自宅に帰ってくるとされており、故人の霊をお迎えするためのお供えや儀式を行うという風習があります。そのため、お盆の期間中は、日本で最もお墓参りに訪れる方が多い時期といえます。
お盆の時期は、地域によって違いがあり、主な期間は下記3つになります。
新暦のお盆 新盆
新暦の7月15日を中日とし、7月13日から16日までの期間を指します。
月遅れ盆
ひと月遅れのお盆で、8月15日を中日に、8月13日から16日までの期間を指します。
旧暦のお盆 旧盆
旧暦の7月15日を中日にしたお盆で、その年によって日にちが異なります。
お墓参りは、お盆期間中であれば、いつ行っても良いとされています。
ただし、地域や宗教などによって異なりますが、一般的には「迎え火」を焚いてご先祖様の霊をお迎えする、13日に行く方が多いようです。これは、ご先祖様が家へ訪れる前に、お墓へお迎えに上がることが、丁寧な行為だと考えられているためです。
お彼岸はお盆に次ぐお墓参りシーズン
お彼岸とは、春分の日と秋分の日を中日とした前後3日、7日間のことをいいます。7日間の初日を「彼岸の入り」といい、最終日は「彼岸の明け」と表現されます。
具体的な日付は法律で示されておらず、毎年異なるので確認が必要です。
毎年2月に、翌年の「春分の日」と「秋分の日」を、国立天文台が確定します。その日を中心とした1週間が、ご先祖様と故人を供養する期間になります。
お彼岸は、お盆の次にお墓参りに訪れる方が多くなるシーズンでもあります。
春のお彼岸
秋のお彼岸と区別し「春彼岸」とも呼ばれる3月のお彼岸は、春分の日が中日になります。春分の日を含む前後3日間の期間内であれば、いつお墓参りに行っても大丈夫とされていますが、特に多くの方が出向くのは春分の日当日になります。
春のお彼岸といえば「ぼたもち」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
この「ぼたもち」、現在では秋の「おはぎ」と区別なく作られていますが、少し前までは、「ぼたもち」はこしあんで、「おはぎ」は粒あんとされていました。これは、春のぼたもちを作るための小豆が秋に収穫されたもので、保存過程で固くなってしまった皮を取り除く必要があったためだという説があります。
名前の由来は、春の花の代表である牡丹の花にあやかって付けられたとされています。
秋のお彼岸
9月のお彼岸は「秋彼岸」とも呼ばれ、秋分の日が中日になります。秋彼岸も、期間中であればいつお墓参りに行っても良いとされていますが、春彼岸と同じく秋分の日当日が最適とされています。
秋の「おはぎ」は、収穫したての柔らかい小豆で作った粒あんが特徴とされていました。しかし小豆の保存技術が発達した現代では、「おはぎ」も「ぼたもち」も、食べる人の好みで「こしあん」「粒あん」を選べるようになっています。
名前の由来は、秋の花の代表である萩の花にあやかって付けられたとされています。
人生の節目にも墓参りにいきましょう
人生の節目にお墓参りをしようと思い立つ方は多いようです。
お墓は、ご自身のルーツであるご先祖様が祀られている場所です。結婚や出産など、おめでたいことは積極的にお墓にご報告に行くようにしましょう。
また、受験や就職など、ご自身の意志を固める時にも、お墓参りはおすすめです。
お墓は神聖な気持ちで自分自身を見つめ、自分自身に問いかけることができる数少ない場でもあります。心穏やかに、決意を固めることができるでしょう。
お正月のお墓参りでご先祖様にも新年のご挨拶
年末年始のお正月休みに、お墓参りをするという方は意外と多くいるようです。
年末年始は、ご家族や親戚が集まりやすい時期でもあります。親類縁者一同そろって、年始にはご先祖様や故人へ、新年の挨拶も兼ねてお墓参りをしましょう。ご先祖様に一年の報告と感謝を伝えることで、スッキリとした気持ちで新たな一年が迎えられます。
気が向いたらいつでもお墓参りに行きましょう
お墓参りの時期は、お盆やお彼岸など、暦に合わせて行う方が多くいますが、基本的にタブーはありません。そのため、お墓参りをしたいと思ったとき、ご先祖様や故人に何かを報告したい時、会いに行っていただいて問題はありません。
お墓参りで大切なのは、供養と感謝の気持ちです。時期を気にし過ぎて供養の頻度が減ってしまうようでは、本末転倒といえます。ご先祖様や故人のためにも、これを機会として、お墓参りに行ってみてはいかがでしょうか。
お墓参りに最適な時間帯は?
お墓参りにふさわしい時期について説明してきましたが、1日のうちでお墓参りに適した時間帯はあるのでしょうか。
ここからはお墓参りにおすすめの時間帯について、解説します。
お墓参りの時間帯に決まりはありません
お墓参りをしてはいけない時間帯はありませんので、午前でも午後でも、ご自身の都合のいい時間に行ってかまいません。
昔からの言い伝えで「お墓参りは午前中」ということを重視する方もいるようですが、忙しすぎる昨今を顧みた時、それを守っていてはますますお墓参りが遠のいてしまいます。
ご先祖様や故人は、ご遺族が会いに来てくれることを楽しみにしています。地方によっては昔からの風習や仕来りが存在するかと思われますが、気にしすぎる必要はありません。
お盆の時期は混み合うので早朝がおすすめ
お盆のお墓参りには、昔からの風習で、「お迎え」と「お見送り」という時間帯があります。
お盆のお墓参り
風習 | 日にち | 時間帯 |
---|---|---|
お迎え | お盆の最初の日(13日) | 午後3時頃~5時頃 |
お見送り | お盆の最後の日(16日) | 午後5時頃~7時頃 |
お迎えとは、お盆の最初の日に、ご先祖様を自宅の仏壇にお招きするために、お墓まで迎えに行くことを指します。お迎えのお墓参りは「早く帰ってきてほしい」という気持ちをあらわすためにも、早い方が良いといわれていますが、ご先祖様は迎え火をたよりに帰るとされているため、陽が傾きかける午後3時頃が目安となっているようです。
反対にお見送りとは、お盆の最後の日に、ご先祖様をお墓までお見送りするためのお墓参りになります。ご先祖様を「少しでも長く引き留めたい」という思いから、午後5時頃をめどに、家の前で送り火を焚き、提灯や懐中電灯を掲げてお墓参りをします。
とはいえ、お迎えやお見送りのタイミングにお墓参りをするのが難しい方も少なくないことでしょう。その場合は、13日~16日までの間であれば、どの日でも、どんな時間帯でも、ご都合に合わせてお墓参りをして構いません。しきたりに従ったお盆を営めない方は、中日の15日にお墓参りをすることで、お盆とする方も多いようです。
その際におすすめなのは、お墓が混み合わない早朝です。
お盆は7月もしくは8月の、夏の暑い季節になります。熱中症などの予防のためにも、あまり暑くなりすぎない早朝に、晴れやかな気持ちでご先祖様に会いに行きましょう。
夜の墓参りはなるべく避けましょう
お墓参りの時間に明確な決まりはありませんが、可能であれば避けたほうが良いとされているのが、夜のお墓参りです。
その理由について、詳しく解説します。
危険
陽が沈んでしまってからのお墓参りは、防犯上や安全面から、あまりおすすめできません。
特に、昔ながらの墓地や霊園は、舗装されていないなど足元が悪いこともあります。暗い中で歩くのは、転倒などの危険性もあります。また、お墓は静かで街灯などもあまりないことが多い場所です。そのため、夜間のお墓参りは、トラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。加えて、夜間は雑草なども見え辛く、墓石の掃除にも危険が伴います。
可能であれば、日を改めてお参りされた方が良いでしょう。
開いてない
寺院や霊園では、開園時間を設けている施設もあります。そのため、せっかくお墓参りに行ったのに、入れなかったということも少なくないようです。
近年は、住宅街に囲まれているお墓も少なくありません。夜間は近所迷惑になりやすいため、夕刻で閉めてしまう場合が多いようです。
もちろん、夜間のお墓参りを許可されている寺院・霊園もありますが、やはり可能であれば、陽が高いうちにお参りを済ませることをおすすめします。
お墓参りの注意点
お墓参りの意味や作法について、さまざまな視点から紹介してきましたが、最後にお墓参りの際に押さえておきたい注意点について、3つに絞って解説します。
お寺・霊園の決まりに従う
霊園では、ルールや使用規則が細かく定められていることがほとんどです。
例えば、墓地内にペットは入れない、火災防止のためお線香をあげないなどの注意事項が存在します。また、多くの霊園は開園時間を設けているため、事前に確認するようにしましょう。
加えて、お寺の場合は、宗派によってお墓参りの作法が異なります。
例えば、お線香の本数や、折る折らないなど、特有のやり方があります。地方の場合は、宗派の違いだけでなく、地域やご家族ごとに独自の「やり方」がある場合もありますので、親族に普段どのようにしているのか聞いたり、同行する家族のやり方を見て倣うとよいでしょう。
ゴミは基本的に持ち帰る
当たり前のことではありますが、お墓参りの際に出たゴミは、基本的に持ち帰るのが必須です。そのため、ゴミを入れるための専用のビニール袋などを用意することをおすすめします。
また、ゴミと並べてしまうのは申し訳ないのですが、お供え物は、そのまま放置しておくことはひかえましょう。食べ物をそのままにしておくと、墓石にシミやサビができたり、カラスが荒らしたり、地域によっては鹿や猪などの動物がお墓を荒らしたりする原因になるからです。
お供え物は持ち帰ってご家族でいただくか、そのまま墓所で食べてしまってもかまいません。お墓でお供え物を食べることは、マナー違反ではありません。お墓参りした方たちで、ご供養の気持ちでいただきましょう。
共有物と私有物をよく確認する
霊園や寺院によっては、お墓参りや墓所のお手入れに必要な道具の貸出しを行っている施設もあります。
例えば、バケツ・ホウキ・チリトリ・スポンジ・タワシなどは、自由に持ち出しできる施設がほとんどです。また、職員の方に声をかけることで剪定バサミや剪定ノコギリなどを貸してくれる場合もあります。
その際気を付けたのは、共有物と私有物の確認です。
貸出品目の中には、ご自身が持ってきた私有物と同じものが含まれている場合もあります。間違って持ち帰ってしまわないように、共有物と私有物は事前にキチンと分けておくようにしましょう。
また、使用した後は、埃や泥を出来るだけ落とし、綺麗にしてからお返しするようにしましょう。
まとめ
お墓参りは、お子様やお孫様など、次世代へ受け継いでいくべき、大切な日本の文化といえます。幼い頃は意味がわからなくても、家族でお墓参りに行き、大人達の真摯な姿勢をみつめることで、家族を大切にする心が育まれていきます。
お墓参りは、ご先祖様へのご供養にとどまらず、故人の冥福を祈る慈しみの心、「見守ってくれてありがとう」という感謝の気持ちなど、子供の頃に誰もが少なからず感じていた、清廉な気持ちを取り戻すことができる行為でもあるのです。
お墓のことが気になっているこれを機会として、お墓参りに訪れ、ご家族や人を想う心静かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。